「スリッターとは?」
「スリッターを導入したいけれど、どんな機械なの?」
このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。スリッターは、紙・不織布・フィルム・粘着テープ・金属など、さまざまなロール状のシートを任意の幅に切断し、再びロール状に巻き取る装置です。
幅広い素材に対応できる一方で、素材の厚みやサイズに合わせた設定や加工条件の調整が必要です。また、目的や用途によっては、シートカッターなど他の切断装置と使い分けるケースもあります。
そこで本記事では、スリッターの特徴から種類、選び方までを分かりやすく解説します。スリッターやスリッターカッターの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
また、以下の記事ではシートカッター導入におすすめのメーカーを紹介していますので、気になる方はチェックして会社選びの参考にしてみてください。
スリッターとは

スリッターとは、ロール状の素材を一定の幅に正確に切断(スリット)するための機械です。主に金属・フィルム・紙・プラスチック・不織布など、幅広い素材の加工に使用され、製造ラインや加工工場で欠かせない存在となっています。
大きな原反(素材の巻き取りロール)を複数の小ロールに分割することで、次の工程に適した形へ整えるのがスリッターの役割です。
スリッターの主な役割を以下にまとめました。
・ロール素材を均一な幅に切断する
・製品用途に合わせたサイズ調整を行う
・大量の素材を効率的に処理する
・切断精度を高めて品質を安定させる
スリッターは、刃物やテンションを精密に制御する仕組みを持ち、素材の厚みや特性に応じて微調整できるのが特徴です。
たとえば、金属では高い切断力、フィルムや紙では滑らかな送り制御が求められます。これにより、製造スピードの向上と品質の均一化を両立できるのがスリッターの強みです。
スリッターの4つの特徴
スリッターは、寸法の正確さや生産スピード、そして作業効率を高める機能面で大きな進化を遂げています。特に近年では、操作の自動化や多素材対応など、現場のニーズに合わせた性能向上が進んでいます。
ここでは、スリッターの代表的な4つの特徴を紹介します。
これらの特徴を理解することで、スリッターの性能や導入効果をより具体的にイメージできるでしょう。以下で詳しく解説します。
高い寸法精度
スリッター最大の特徴は、何と言っても高い寸法精度です。
微細なフィルムから厚手の金属板まで、幅広い材料をμm単位の精度でカットできます。この精度の高さは、製品の品質を左右する重要な要素であり、特に電子部品や精密機械部品の製造においては不可欠です。
最新の制御システムにより、微細な調整が可能となり、高精度なカットを実現できます。さらに、連続生産においても、常に一定の寸法でカットできるため、製品の品質安定化に貢献しています。
高速な切断
2つ目の特徴は、高速な切断です。スリッターは、材料を連続的に送り込み、高速で回転する刃で切断する構造になっています。この構造により、連続的に材料をカットできるため、高速な生産が可能です。
また、手作業に比べて大幅に時間を短縮でき、生産性の向上に大きく貢献します。特に大量生産が必要な産業においては、その強みを発揮するでしょう。
さらに、高速な生産により、人件費や時間的なコストも削減できます。
多様な材料に対応
スリッターは、多様な材料に対応できる点が特徴の一つです。紙、フィルム、金属箔、布、ゴムなど、様々な種類の材料に対応できます。
スリッターには、切断する材料の硬さや厚さ、形状に合わせて、様々な種類の刃が用意されています。材料の搬送方法や刃の取り付け方など、機械構造が柔軟に設計されているため、様々な種類の材料に対応が可能です。
多様な材料に対応できる点は、スリッターが幅広い産業で活用されている大きな要因となっています。
自動化による省力化
スリッターの特徴の4つ目は、自動化による省力化です。製造工程の多くを自動化できます。
材料のセット、カット、排出といった一連の工程を自動化することで、人による作業を大幅に削減できます。また、人による作業ミスは、製品の品質低下や生産遅延につながる可能性がありますが、自動化によってこれを防ぐことが可能です。
スリッターの自動化は、生産現場の効率化と省力化に大きく貢献し、人手による作業の削減、作業ミスの防止、生産性の向上など、多くのメリットをもたらします。
スリッターの種類

ここからは、スリッターの種類を解説します。スリッターには、使用する材料やカットする形状、生産量などによって様々な種類があります。
スリッターを導入する際には、各スリッターの特徴や強みを把握しておく必要があります。それぞれ下記で詳しく説明していくため、チェックしてください。
ロータリー式スリッター
ロータリー式スリッターは、スリッターの中でも最も一般的なタイプの一つです。円盤状の刃で材料をカットする方式で、高速で高精度な切断が可能なため、幅広い産業で利用されています。
- ロータリー式スリッターの特徴
| 特徴 | 詳細 |
|---|---|
| 高速切断 | 多数の円盤状の刃が高速回転することで、連続的に材料を切断します。 |
| 高精度 | 刃の位置や回転速度を精密に制御することで、高い寸法精度を実現します。 |
| 多様な材料対応 | 紙、フィルム、金属箔など、様々な種類の材料に対応できます。 |
| 自動化 | 材料の送り込みから切断、排出まで、多くの工程を自動化できます。 |
ただし、ロータリー式スリッターは高性能な機械であるため、初期投資額が比較的高いです。また、 構造が複雑なため、メンテナンスがやや難しい場合があるため、注意が必要です。
ギロチン式スリッター
ギロチン式スリッターは、その名の通り、ギロチンの刃のように垂直に刃が上から降りてきて材料を切断する方式で、降りてくる刃で材料を切断するタイプのスリッターです。
ロータリー式スリッターとは異なり、連続的な切断ではなく、一度に一枚の材料を切断するのが特徴です。そのため厚い材料の切断に適しています。
| 特徴 | 詳細 |
|---|---|
| 垂直切断 | 垂直に動く刃で材料を切断するため、直線的で滑らかな切断面が得られます。 |
| 厚物切断 | 厚い材料の切断に適しており、紙だけでなく、段ボールやプラスチック板なども切断できます。 |
| 少量多品種生産 | ロータリー式に比べてセットアップが簡単で、少量多品種生産に適しています。 |
一方で、デメリットとしては、一度に一枚ずつしか切断できないため、連続的な生産には適していません。
ロータリー式スリッターと比較して、切断面が綺麗で、セットアップが簡単という特徴がありますが、生産速度が遅いというデメリットもあるため注意しましょう。
レーザー式スリッター
ギロチン式スリッターとロータリー式スリッターに加えて、近年ではレーザーを用いた切断が注目されています。
レーザー式スリッターは、レーザー光線で材料を切断する方式で、非接触で高精度の切断が可能であり、従来のスリッターでは難しかった加工に対応できます。
| 特徴 | 詳細 |
|---|---|
| 非接触切断 | レーザー光で材料を溶かすため、刃による物理的な接触がありません。 |
| 高精度 | 微細なパターンや複雑な形状の切断が可能です。 |
| 熱変形が少ない | 熱による材料の変形が少ないため、精密な部品の製造に適しています。 |
| 多様な材料に対応 | 金属、プラスチック、木材など、様々な材料に対応できます。 |
レーザー式スリッターは、微細なパターンや複雑な形状の切断が可能ですが、一方で装置が高価な点や切断速度が遅いといったデメリットもあります。
また、材料の種類によっては変色や燃焼の可能性があるため、注意が必要です。
スリッターを導入するメリット

ここでは、スリッター導入によって得られる主な3つのメリットを紹介します。
以下で詳しく解説します。
生産性の向上
スリッターの最大の導入効果は、生産性の向上です。ロール素材を連続的に切断できるため、手作業や旧式設備に比べて圧倒的なスピードで処理できます。
最新機種では、切断と巻き取りを自動制御することで作業効率がさらに向上し、1時間あたりの処理量を大幅に増やすことが可能です。
また、連続稼働機能を備えたスリッターなら、ラインの停止を最小限に抑えられるため、安定した生産体制を維持できます。生産スピードが上がることで納期短縮が実現し、結果として顧客満足度や取引機会の拡大にも貢献するでしょう。
品質の安定と歩留まり改善
スリッターは、切断精度の高さと安定した加工性能により、製品の品質を均一に保つことができます。
テンション制御や刃位置の自動補正機能を搭載したモデルでは、素材の伸びやズレを最小限に抑え、常に同じ寸法で切断可能です。これにより、製品不良や加工ムラを減らし、原材料のロスを防ぐことができます。
また、高精度な加工は品質のバラつきを防ぎ、顧客からの信頼向上にもつながります。歩留まりの改善は、原材料費の削減や生産コストの最適化に直結するため、経営面での効果も非常に大きいといえるでしょう。
作業負担の軽減と安全性向上
スリッターの自動化・省力化機能により、作業者の負担を大幅に軽減できます。
刃位置やテンションの設定、巻き取り操作などが自動化されているため、従来のように作業者が細かく調整する必要がありません。その結果、少人数でも安定稼働が可能になり、人的コストの削減にもつながります。
また、安全センサーやカバー制御などの安全機構も強化されており、高速運転中でも作業者の安全を確保できます。作業環境の改善は、スタッフの定着率やモチベーション維持にも寄与し、より持続的な生産体制を支える要素となるでしょう。
スリッターを導入する際の注意点

スリッターの導入は、多くのメリットがある一方で、機種選定や設置環境を誤ると期待した効果を得られない場合があります。特に、加工する素材やライン構成に合わない仕様を選んでしまうと、トラブルやコスト増の原因となることもあるので注意が必要です。
ここでは、導入前に確認しておきたい3つの注意点を紹介します。
以下で詳しく解説します。
設置スペースと安全対策を確認する
スリッターは供給部から巻き取り部まで一体化した大型装置のため、導入時には十分な設置スペースが必要です。作業者が安全に移動できる通路や、素材搬入の動線も考慮したレイアウトを設計しましょう。
また、高速で刃物を回転させる機構を持つため、安全柵や非常停止スイッチの設置も欠かせません。メーカーによっては、導入前に設置シミュレーションを行うサービスもあります。事前に設置環境を確認しておくことで、作業効率と安全性を両立できる最適な運用環境を整えることが可能です。
加工素材に合った仕様を選定する
スリッターは多用途に対応できますが、すべての素材を同じ設定で加工できるわけではありません。たとえば、金属や硬質素材は高い切断力が必要であり、逆にフィルムや紙のような柔らかい素材はテンション制御や送り速度が重要になります。そのため、加工素材の厚み・強度・伸縮性に応じた仕様を選ぶことが不可欠です。
また、将来的に新しい素材を扱う可能性がある場合は、拡張性の高いモデルを選ぶと長期運用に適しています。
信頼できるメーカーを選ぶ
スリッターの性能を最大限に活かすには、信頼性の高いメーカーを選ぶことが欠かせません。メーカーによって、精度・耐久性・アフターサービスの品質に差があります。導入前には、実績や導入事例を確認し、部品供給体制やメンテナンスサポートが充実しているかをチェックしましょう。
また、導入後の運用支援や技術相談に対応してくれるメーカーであれば、トラブル発生時の対応も迅速です。単に価格で選ぶのではなく、長期的な安定稼働をサポートできるパートナーとして選定することが重要です。
おすすめのスリッター・業務用シートカッターメーカー3選
製造現場やラベル加工業、フィルム加工など多岐にわたる業界で活用されているスリッター・シートカッター。導入を検討する際は、装置の性能だけでなく、対応できる素材やカスタマイズ性、アフターサポートも重要です。
ここでは、実績と技術力を持つ国内メーカー3社をご紹介します。
以下で詳しく解説します。
ソルテック工業株式会社

ソルテック工業株式会社は、栃木県那須塩原市に本社を置くフィルム・シート加工機の専門メーカーです。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 会社名 | ソルテック工業株式会社 |
| 住所 | 栃木県那須塩原市下田野532-166 |
| 電話番号 | 0287-35-4048 |
| 公式サイト | https://solutech.co.jp/ |
ソルテック工業は「先進の技術、確かな信頼」を掲げ、主にスリッターおよびシートカッターの開発・製造・販売を行っています。特にWシリーズとして展開している「2軸スリッター」や「シートカッター」は、精度と安定性に定評があります。
また、ラベル業界向けの後加工機器など、ニッチなニーズにも対応できる柔軟な開発力が強みです。国内外の展示会にも積極的に出展しており、最新技術を発信し続けています。機能性と拡張性の高い製品を求める企業にとって、信頼できる選択肢といえるでしょう。
なお、ソルテック工業について詳しく知りたい方は、公式HPを確認してみてください。
以下の記事ではソルテック工業株式会社の会社の特徴、商品事例などをさらに詳しく解説していますので、気になる方はぜひ参考にしてみてください。
曙機械工業株式会社

曙機械工業株式会社は、創業から100年以上の歴史を持つ抜型裁断機・カッター機の総合メーカーです。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 会社名 | 曙機械工業株式会社 |
| 住所 | 埼玉県鴻巣市鎌塚1-1-3 |
| 電話番号 | 0495-21-8123 |
| 公式サイト | https://akebonomc.co.jp/ |
油圧式からサーボクランク式まで幅広い裁断方式に対応しており、用途や素材に合わせた製品ラインナップを展開しています。業務用のシートカッターやスリッター関連機器においても、長年蓄積してきた加工技術を活かし、高い精度と耐久性を実現しています。
また、専任スタッフによる迅速な対応体制や、テストカットの依頼受付など、導入前後のサポートにも力を入れています。業種を問わず多様な加工ニーズに応えてきた実績を持つメーカーとして、導入後の安心感も得られるでしょう。
以下の記事では曙機械工業株式会社の会社の特徴、商品事例などをさらに詳しく解説していますので、気になる方はぜひ参考にしてみてください。
株式会社オート技研

株式会社オート技研は、大阪府東大阪市に拠点を置く、業務用シートカッターや切断機の専門メーカーです。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社オート技研 |
| 住所 | 大阪府八尾市新家町5-23 |
| 電話番号 | 072-996-5282 |
| 公式サイト | http://auto-giken.jp/index.html |
長年にわたり各種シートカッターや自動切断機の設計・製造に携わっており、現場ごとの要望に応じたカスタム対応が可能な技術基盤を持っています。特注品にも柔軟に対応している姿勢が評価されており、少量対応や特殊形状に対しても最適な提案が可能とされています。
汎用品では対応できない製造工程に悩む企業にとって、こうした専門メーカーの存在は貴重です。カスタム重視で設備を検討したい場合は、一度相談してみる価値があるでしょう。
以下の記事では株式会社オート技研の会社の特徴、商品事例などをさらに詳しく解説していますので、気になる方はぜひ参考にしてみてください。
まとめ
スリッターは、様々な産業において幅広く利用されている重要な機械です。高い寸法精度、高速な切断、多様な材料への対応など、多くの強みを持っています。
高精度な切断が必要な場合や、大量の材料を効率よくカットしたい場合などに、スリッターは非常に有効なツールとなるでしょう。
ただし、スリッターはそれぞれ異なる特徴を持った種類が存在します。どのスリッターを選ぶべきかは、加工する材料の種類、形状、数量、精度などの要求条件によって異なります。ぜひ本記事を参考にしながらスリッターの利用を検討してみてください。


